バイコヌール打ち上げツアー (2013/11/8)

6日目 さらばバイコヌール

打ち上げの興奮がさめやらぬまま朝を迎えますが、ついにバイコヌールを離れる日が来てしまいました。
だいぶ馴染んだホテルの部屋を片付けるのが少し寂しいです。

送迎バスに乗り込み地平線から差す朝日を浴びながらバイコヌールのゲートを抜けました。
願わくばまたこの地を訪ねられることを。

出国の手続きを済ませクライニー空港からモスクワへ移動。
例によってコスモスエアーのランチはボリュームたっぷりで完食ならず・・・。

ブヌコヴォ空港からはチャーター便のバスで宿泊するホテルに向かいます。
往路は夜であったため、ほとんど街の景色を見ることが出来ませんでしたからモスクワの都市部の風景がとても新鮮に映ります。
途中、クレムリンやボリショイ劇場、旧KGB庁舎など有名な建築物が見えますが、思っていたよりコンパクトにまとまっている印象でした。
映画などで見る赤の広場とクレムリンは広大な敷地に見えますが、日本の皇居の方がたぶん大きいです。

車窓の景色を楽しみつつバスはモスクワの目抜き通りであるミーラ大通りを通り、宇宙飛行士記念博物館のそばにあるコスモスホテルへ到着。
少々設備が古い感じがしますが、部屋の窓からは天に向かって美しいカーブを描くロケットのモニュメントやオスタンキノタワーが見えて良い景色です。

この後はツアーとしての行程はなく単独行動になります。
ホテルの部屋で一休みしても日没まで相当時間があるので、モスクワに来た際にはぜひ立ち寄ろうと思っていた場所に出かけることにしました。

ホテル最寄りのヴェーデンハー(ВДНХ)駅で10+1回の共通乗車券を購入。
この乗車券はタッチ式の使い捨て乗車券で、地下鉄のほかバスやトラム、トロリーバスに乗る事が出来ます。

モスクワの地下鉄は初めてでしたが、路線図の案内板は乗換路線の駅名まで書いてあるのでキリル文字さえ読めれば日本の地下鉄よりもわかりやすいかもしれません。

おかげで迷うこともなく、2回ほど乗り換えて目的地ジナモ駅に到着。
スタジアム脇の公園を突き抜けるように歩くこと数分、軍事医学研究所の駐車場にやってきました。
うらびれた敷地の片隅に探していたモニュメントを発見!

地球の軌道を初めて周回した生物で、宇宙開発の礎となった宇宙犬ライカの像。

ロケットと人の手を模したであろう台座にライカがちょこんと乗った意匠で高さは2.5mほどありそうです。
近くの壁面にはライカの功績をたたえるプレートが埋め込まれています。

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偉大なライカ

ロシアのただの雑種犬
それが偉大な名誉を受ける

暗い犬の生活から揚々と宇宙に立ち昇る

偉大なライカは知らない
結局 犬が理解することは難しい
しかし彼女の人生の栄光と功績が奪われることはない

彼女は地球上空を飛行した
自身を犠牲にして科学のために燃え尽きた
永遠の星となって
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※ロシア語に不慣れなのでニュアンスが違うかもしれません。

ライカがスプートニク2号で宇宙へ行ったのは1957年11月3日です。
56年前の丁度この時期、生死不明ながらも片道切符の宇宙船の中で地球を周回していた事を思うと感慨深いものがありますね。
最近の説ではストレスと熱により打ち上げから5~7時間後には死んでいたというのが有力みたいです。

ライカ像を後にしてホテルのあるベーデンハーに戻ってきました。
夕日に輝くロケットのモニュメントが美しい。

そのまま引きつけられるように宇宙飛行士記念博物館を見学することにします。
モニュメントの下が博物館になっており、その回りにはロシアの歴代宇宙飛行士の像が立ち並んでいます。

入館料と撮影料を支払いコートをカウンターに預け、いざ見学!と踏み出すといきなりハイライトが・・・。

周回軌道から初めて生還した生物である宇宙犬、ヴェルカ、ストレルカの剥製が鎮座ましましていました。
いやいや、ガガーリンが使用したSK-1宇宙服やボストーク宇宙船の実物など見所はいっぱいあるのですが、先ほどライカの像を見て感慨に耽っていたばかりなのにいきなり目の前に剥製ですからビックリです、上野の博物館でタロとジロの剥製を見たときの気持ちを少し思い出しました。

日本の博物館だとハイライトは奥の方に配置することが多いように思いますが、そこはロシアの気質なのでしょうか見せたいものは積極的に前です。
入り口からすぐのホールに、目玉の8割は展示されていたのではないでしょうか?

奥の方にはソユーズやミールの模型の他、ロシア以外の世界のロケットなどの展示もありました。
宇宙で活躍する女性特集といった期間限定の特別展示があったりして見応えはかなりあります。


しかし、バイコヌールで本物のロケットと展示物をまさに触れられる距離で堪能した直後でもあり、少々物足りない感じがしたのも事実です。
今思うと贅沢な不満ですね。

博物館を出るとすでに日が落ちて辺りは暗くなっていました。
気温もずいぶん下がっていますが日本の真冬と同程度なので、特別防寒に気を使う必要はありません。
道すがらスーパーで土産のジャムと飲み物などを買って本日の活動は終了。
ホテルの中華店でツアー同行者と共に晩餐をして旅の成功を祝いました。
飲食店の他にも土産屋や両替屋などが建ち並び、コスモスホテルは一つの街みたいな雰囲気でした。

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