バイコヌール打ち上げツアー (2013/11/6)

4日目 打上前記者会見

久しぶりにのんびりとした時間の起床です。
ここ数日夜明け前の起床が続きましたから大変助かります。

今日のメインイベントは出発前の記者会見です。
なにぶんその会場は滞在するホテルのすぐ裏側にあるので、ゆっくり歩いて移動します。

この施設は宇宙飛行士が出発前に滞在する場所であり、はじめて宇宙に旅立つ飛行士が植樹することでも知られています。
会見が始まるまでの間、施設内を散策して過去に宇宙へ旅立った偉人たちの樹を見学します。
テレビや写真で一部だけを切り出した画像の知識しか持っていないので、長い一本の並木道なのかと思っていましたが、実際には丁字型の通路になっており、左右にガガーリンやテレシコワ、秋山氏などなど古今の飛行士が植えた木が並んでいました。



古い年代の樹はカメラの画角に収まらないほど大きく育っており、時代の流れを感じます。
カザフの枯れた大地でも育つ塩害に強い植物と説明されましたが植物の種類は不明。
枯れてしまう木もあるらしく、その場合は新しい木を植え直すそうです。

丁字路の交差部にはプロトンロケットのオブジェが有り、目の前にはアラル海へ注ぐシルダリア川が蛇行しています。
オブジェのそばにある階段で下に降りると日本では味わえないような開放感ある素晴らしい景色が広がりますが、よく見ると草むらにライフルを携行した兵士が潜んでいて少々びっくり。

とても穏やかな気候と静かな場所で忘れかけていましたが、ここが特別な場所だと言うことを改めて思い知りました。
凄いところにいるんだなぁ。

しばらくすると記者会見の時間になり、敷地内の会場に歩いて移動します。
会場には各国のプレスが集まりすでに大変な混雑です。
オリンピックの聖火(トーチ)がはじめて宇宙に行くこともあり、いつもの打ち上げよりも話題性がありますからプレスの数も普段より多いのではないでしょうか?
少々出遅れた感があり、すでに会場は満員です。
後ろの方は脚立と三脚が乱立してなかなか前方の様子を見ることが出来ません。
ようやく見つけたTVクルーの隙間に取り付くと、狭い視界から若田さんらプライムクルーと昨日ソユーズの前ではしゃいでいたバックアップクルーを見ることが出来ました。
中央にはISSに持ち込むオリンピックの聖火トーチが飾られ、クルーの並ぶ演台とこちら側はガラスで仕切られています。
各方面からの問いに時折笑いを交えながら話をするクルー達でしたが、ほとんどの方が母国語を基本に受け答えする中、若田さんだけはロシア語にはロシア語、英語には英語と3カ国語を操りとても好印象でした。

おおよそ和やかにポジティブな受け答えで会見は終わり会場を出ると、バックアップクルーの1人が建物の影でタバコをふかしていました、なんだか遊園地の着ぐるみの中の人を見てしまった気まずさです。
宇宙飛行士も普通の人間なのだなぁと親近感を覚えたりして。

昼食後、カルチャーセンター(ДВОРЕЦ КУЛЬТУРЫ)のサインがある建物に移動してきました。
ここにはバイコヌール宇宙基地歴史博物館(МУЗЕЙ ИСТОРИИ КОСМОДРОМА БАЙКОНУР)が併設されています。

英語が堪能な学芸員の案内でバイコヌールの歴史や文化を見学します。
第二次大戦からの流れで基地の歴史やロケットの歴史が紹介されていますが説明パネルは基本的にキリルのみです。 しかし現在ISSに設置されているKIROBOの模型が置いてありましたから展示物は意欲的に更新していることが窺えます。
模型以外にも宇宙服など実物の展示も多く、各国の宇宙事業紹介やカザフスタンの伝統的な暮らしを再現したゲルなど、地方都市の歴史博物館にしてはかなり充実した内容で満足出来る物でした。


その後、学芸員と共に屋外へ繰り出しいくつかのオブジェの説明を受けます。
ロケット開発の功労者の像であったり、事故で亡くなった方々の慰霊碑であったり、宇宙開発競争の時代には隠されていた負の記憶も今ではオープンになっている様子でした。

ロシア正教の教会にも訪問。 鮮やかな青とタマネギ型の尖塔が特徴的です。
こちらの教会にはISSに安置されたイコンが収蔵されています。
後で知ることになりますが、こちらの教会の司祭は出発式で飛行士に聖水を掛けたり安全な打ち上げ祈祷するなど宇宙事業に関わっている様子です。

その後も市街を散策してオブジェなどを見学します。 バイコヌールに限らずロシアの都市に行くとちょっとした広場に戦車や飛行機のオブジェがおいてあるのをよく見かけます。
廃品利用の一環なのかもしれませんが、さすがに場所柄か航空宇宙関連のオブジェが多いですね。

比較的早い時間にホテルに戻ったので、記念のハガキなど書きつつ本日のミッションは終了。
ついに明日はメインイベントの打ち上げです。

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