バイコヌール打ち上げツアー (2013/11/4)

2日目 バイコヌールへ

貫徹状態からの数時間睡眠なのにパッチリ目が覚めてしまいました。
相当気が高ぶっているのでしょうね。

フロントに頼んだモーニングコールを電話の前で待つ状態です。
というか、自動応答ではなくリアルにロシア語で掛けてきたのでびっくり!
「どーぶらえ うーとらむ すぱしーば すぱしーば」 ガチャリ。
一部屋ずつ順番に掛けているのか、自分の部屋に掛かってきたのは指定時間を5分ほど過ぎた頃でした。
丁寧な対応と言えなくもないか・・。はたまたこれはロシアクオリティなのか?

今日はカザフスタンへの移動行程です。
軽い食事をを済ませ、貸し切りバスでブヌコヴォ空港に向かいます。
途中、バスが道を間違えた様子で、高速道路のランプウェイをバックで逆走するという日本では考えられないような体験もしましたが、夜が明けぬ暗いうちに空港へ到着しました。

エネルギヤ社の看板が掲げられたカウンターはメインターミナルとは離れた場所にあり、特別なカウンターであることが窺えます。
ロケットの写真と模型で装飾されており雰囲気満点です。

しばらくすると世界中からやってきた宇宙事業の関係者とプレスでカウンターはごった返します。
その中には古川さん、星出さんといったJAXAの宇宙飛行士と若田さんの家族もおり、あまりにゴージャスな顔ぶれに感激しました。
国外の有名人も沢山いたんだろうなぁ、もっと勉強しておけば良かったと後悔。

バイコヌールに向かうのはコスモスエアーのTu-154Mです。
Tu-154シリーズの中では比較的新しい機種ですが、かなり年季の入った機体はお世辞にも綺麗とは言えません、墜ちたら世界の宇宙事業は大打撃ですよ?

座席は指定されておらず、好きなところに座って良いみたいです。
とはいっても外国人との相席は心細いので日本人の列に着席します。

甲高い特徴的なジェット音をたてて離陸した飛行機は外見とは裏腹に意外と揺れずに快適です。
暫くすると機内サービスの昼食が提供されます。

正直な所、こんなボロい飛行機で機内サービスには期待していなかったのですが、出てきた昼食は超豪華!
というか今まで乗ったどの国際線より量は多かったですね、完食するのが困難なレベルでした。

そうこうしているうちに窓の外には一面砂漠が広がり、3時間程度のフライトでバイコヌールに隣接するクライニー空港に着陸しました。
着陸した滑走路上でそのままUターンしてエプロンに向かうのは大型空港では味わえない体験でしたが、次の飛行機なんて当面来ないからこれで良いのでしょうね。

カザフスタンへの入国手続きを済ませロビーへ出るとなにやら異様にごった返しています。
どうやら、予め提出してあるバイコヌールへの訪問者リストとの照合作業を行っている様子。
数枚の紙に印刷されたリストを二百人弱の人々で奪い合って探し出すんだからこうなるわな、ぜひ改善を願いたいところです。

ここではバイコヌールでの身分を証明する、ロスコスモスのネックストラップを譲り受けました。

空港からバイコヌール市街へはたいして離れていないのですが、カザフスタン領地では自由に行動することは出来ないみたいです。
有無を言わさず送迎バスでバイコヌールのゲートをくぐることになりました。

・バイコヌール市街へ

現地住民の方々には大変申し訳ないのですが、バイコヌール市街に入っての正直な感想は「質素な雰囲気」でした。
実際の所、日本だって商業エリア以外は華やかではないですし当然なのでしょうが、周辺の砂漠の色と同化したようなアースカラーの色彩に映りました。
歴史的に見てもつい最近まで所在を隠され、ひっそりと存在する「閉鎖都市」なわけですから、私の感想も間違いでは無いのでしょう。
しかし、ベンチや柵、ゴミ箱といったアイテムに施された装飾は日本にはないデザインセンスを感じます。
なんでもモニュメントにしてしまうところもロシアっぽいですね。

街の規模は、日本なら私鉄の1駅でカバーできる範囲とでもいいましょうか、間違い無く自分の住む街より小規模です。
対してロシア租借地としては福岡県ほどの面積があるそうですから驚きですね。

そうこうしているうちにバスはスプートニクホテルに到着。
若田さんら宇宙飛行士が滞在する施設のすぐ裏側に立地し、放射状に伸びた客室が特徴的な四つ星ホテルです。
あとでツアー同行者に聞きましたが、バーやプールといった施設もあったみたい、ホテル内探検しておけば良かったなぁ。
部屋は1人には十分すぎる広さで清潔感があり快適です、浴槽こそ無いもののシャワーの水圧は十分。
欲を言えばアメニティが若干少ないかな?石けんはとても良い香りでした。

今日は移動日でこれ以降の予定が無いので、ツアー同行者とホテル近くの食料品店に買い出しに行く事になりました。
途中、目抜き通りを横断するのですが、横断歩道でちゃんと停車する車がほとんどです。
以前訪れたウラジオでは、走行する車のタイミングを計って道路を渡るのが普通でしたからバイコヌールのドライバーのモラルの高さに感心しました。

団地の一角にある食料品店は、軒先で子供が遊びネコがたむろする生活感溢れる商店でした。
共産時代の名残でしょうか、手に取れる商品は僅かで、カウンターの内側にある商品を指定して取り出してもらう方式です、ホテルの部屋より狭いぐらい。
そんなところに謎な外国人グループが押しかけるものですから店のオバちゃんは相当怪訝な顔をしております。
店ではクワスとミックスベリーのチャイ、スナック菓子を購入。
日本と違い袋は有料です、「むしょーく ぱじゃーるすた」と唱えると5ルーブルで派手なビニール袋を出してくれました。

店が狭いのでもらった袋に商品を詰め込みそそくさと店の外に出ます。
他の方の買い物を待っていると、現地人らしき中年男性が近づいてきました。
なにやらロシア語で訪ねてきます。
「おまえ何人だ? 日本人か? 俺の車は日産プリメーラだぜ、街を案内するから乗らないか?」
的な事を言っているようです。
視線を移すと確かにくたびれた日本車が止まっており、車内では相棒とみられる若者がこちらを見据えています。
ああ、これは間違い無くぼられるパターンです。
君子危うきに近寄らずにこやかに「にぇと すぱし~ば」とお断り。
しかし彼らも「なぜ だめなんだ?行こうぜ?」と食い下がりますが、暫くして他の日本人が店から出てくると諦めたみたいです。

そのままホテルに戻り暫くのんびり・・・。

ツアー参加者の自己紹介などをしつつ夕飯を食べた後はプチ天体観測に参加しました
とある天文台の方がツアーに同行しており、急遽開催してくれたものです。

望遠鏡を使わなくてもアンドロメダ銀河を撮影することが出来ました。
そして青白く光る謎の飛行物体を目撃!
人類の航空機ではあり得ない軌跡を描いて飛んでいます!さすがコスモドームバイコヌール!
(後に鳥であろうという結論になりました・・・)

明日は早いのですぐに就寝。

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