バイコヌール打ち上げツアー (2013/11/5)

3日目 ソユーズの搬送

早朝、外気は0度ぐらい。
砂漠の地平線が白みだした頃、バイコヌール宇宙基地へ向かいます。

本日は打ち上げの次に大きなイベントといっても差し支えないでしょう、工場からロールアウトしたロケットを発射台に設置する工程を見学する予定です。
ソユーズに最接近出来るチャンスですよ!

バイコヌール市街から宇宙基地へは、ほぼ直線的な一本道です。
NASAやJAXAそして私たちを乗せたバスの車列が猛スピードで現地を目指します。
途中のゲートでは、書類とバスの乗客の数を照合するために武装した軍人が乗り込むなどして少々緊張しますが、特に問題無く通過。
しばらくして発射台のモニュメントがある丘に停車しました。
遠くには発射台が朝焼けのシルエットで浮かんでいます。

目の前にあるのはスプートニクやガガーリンを打上げた歴史的な発射台です。
いわば宇宙開発の聖地、凄いところに来たなぁ。

バスを降りるとソユーズが通るであろうレールのそばまで歩いて移動します。
レールから5mぐらいの距離に規制線が張られており、残念ながらそれより先に近づくことは出来ません。
キリリとした空気が漂うのは気温のせいだけではなく、多くの軍人や飛び交うヘリ、待機する装甲車など警備の厳重さにも関係しているかもしれません。

以前はソユーズを運搬するレールにコインを置いて潰させ記念品にするなど、適当な警備体制だったと聞きましたが、特に今年はソチオリンピックとの兼ね合いもありナーバスになっている様子です。

限られた人しかいないので、最前列を確保するのは容易でした。
太陽がだいぶ上がり、長い影がはっきり見えるようになってきた頃、丘の下の工場から列車がこちらに向かって移動してくるのが小さく見えてきました!

カメラをズームにして覗くと、台車に寝かせて据え付けられたソユーズが機関車にひかれてこちらに向かってくるのがわかります。
どうやらソユーズにはソチオリンピック仕様の特別なペインティングが施されている様子です。
歩くような速度でゆっくりとこちらに向かってきた列車は、一度視界から消えるとスイッチバックしてロケットを載せた台車を先頭に近づいてきました。


ソユーズ特有のクラスターエンジンが目の前を通過していきます。

ソユーズを載せた台車と共に武装した軍人がゾロゾロ付いていく傍ら、今回のミッションのバックアップクルーがソユーズと記念写真を撮ったりして微笑ましい。

発射台に向かって徐々に遠ざかっていくソユーズは朝日に照らされ黄金色に輝いて見えました。

このあと発射台に移動してロケットの据え付け作業を見学する予定でしたが、しばらく経っても移動する気配がありません。 現地のコーディネーターによると、保安上発射台と組み立て工場の見学がキャンセルになったとのこと・・・。
冬期オリンピックのトーチを宇宙に運ぶという歴史的なミッションが含まれているため相当神経質になっている様子です。
近親者の一部を除いてJAXAやNASAの関係者すら発射台にはいけなかったみたい。

発射台の回りにはロケットから剥離した部品がたくさん落ちていると聞いていたのでとても残念です。
(有毒な燃料や放射性物質が付着している可能性が無きにしも非ず)

ガガーリン発射台のモニュメントがある丘で他のツアー参加者と駄弁りながら少しずつ起き上がるソユーズロケットを見守っていました。

・・・というか、気付いたらほとんど立ち上がってた。

・市街地散策

その後一旦基地から戻り、バイコヌール市街で昼食。
レストランзвездное небо(星空)で昼食を食べます。

このあたりは昼食がメインなのか、完食が困難なボリュームでした。
ロシアの料理は日本人の口にも良く合いおいしく食べられます、滞在中食べ物で困ることはまったくありませんでした。

昼食後は市街を散策します。
さすが宇宙の街だけあってそれ関係のオブジェが点在しています。
特に実物のソユーズを使ったモニュメントは圧巻ですね。
地元の子供たちの良い遊び場になっていましたが・・。


地元の本屋などに立ち寄りバイコヌールグッズをいくつか調達。
地図や写真集、ソユーズの模型など、おそらくここでしか手に入らないアイテムに物欲が止まりません。
これはイカンと店の外で同行者の買い物を待っていると、ひとりの少年が小走りで近づいてきて「こすもなーふと?」と声を掛け恥ずかしそうに去って行きました。
場所柄外国人を見ると宇宙飛行士に見えてしまうのかもしれませんね、実はただのダメリーマンなのです、ごめんね少年よ。

街の市場も賑わっており、食料や日用雑貨など色々なものを販売しています。
ロシア人だけではなくカザフ人も多く出店している様子です。
ホテルのアメニティにシャンプーが無かったのを思い出し、雑貨屋の店番をしていた少年に頭を洗うジェスチャーを見せると、ひらめいたように「シャンプー!」と笑顔で叫び商品を提示してくれました。
シャンプーはロシア語でもシャンプー(шампунь)で通じるのですね、値段100p(300円ぐらい)で購入するも現地相場は不明。

・国際宇宙学校見学

バイコヌールという特殊な地の利を生かして、宇宙開発に関わる人材を教育する学校です。
基本的には普通科なのですが、校舎内には打ち上げたロケットから回収されたブースターであったり
試作品であったり模型ではなく本物の宇宙アイテムが溢れています。
しかも、おさわりOKでヘタな博物館よりとても濃い内容です。


モデルロケットの製作にも力を入れている様子で所狭しと力作が並ぶ教室もありました。

惜しむらくは、自分の勉強不足から来る物で、展示されたアイテムのほとんどが何か判らないこと・・・。
もっと勉強していればお宝の山に垂涎モノだったのだろうなぁと反省します。
ロシアのロケットでおなじみの「ボタンを押す棒」に触らせてもらったり、アルマースのカプセルに乗せてもらったりとても貴重な体験が出来ました。

早朝から夕方までロケット三昧を満喫して本日の行程は終了、とても濃厚な1日でした。

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